同時に受け取れない理由
2つの制度は、求めている状態が正反対です。
| 傷病手当金 | 病気やけがで働けないこと(労務不能)が要件 |
|---|---|
| 基本手当(失業給付) | 働く意思と能力があるのに職に就けないことが要件 |
「働けない」と「働ける」を同時に満たすことはできません。だから併給はできません。
順番は決まっています
体調が回復していく順番に沿って、次のように使います。
- 退職。傷病手当金の継続給付を受けながら療養する
- 同時期に、失業給付の受給期間の延長を申請しておく
- 回復して働ける状態になったら、傷病手当金の申請をやめる
- ハローワークで延長を解除し、基本手当の受給手続きに入る
2つ目を忘れると、傷病手当金が終わった時点で失業給付の期限が切れています。 ここが設計のすべてと言っていい部分です。
金額はどちらが大きいか
一般には傷病手当金のほうが1日あたり高くなります。計算のもとが違うためです。
| 傷病手当金 | 標準報酬月額を30で割った額の、およそ3分の2(約67%) |
|---|---|
| 基本手当 | 離職前6か月の賃金をもとにした賃金日額の50〜80%(賃金が低い方ほど率が高くなります) |
ただし基本手当には所定給付日数という上限があり、自己都合退職では被保険者期間に応じて90日から150日です。 傷病手当金の通算1年6か月とは、長さがまったく違います。
金額の上限額・下限額は毎年8月に改定されます。正確な額はハローワークで確認してください。
1日あたりの額が大きく、期間も長いのは傷病手当金です。 そして受給期間を延長できるのは失業給付のほうだけです。
先に基本手当を受け取ってしまうと、その期間は「働ける状態だった」ことになり、 傷病手当金の要件と矛盾します。順番を逆にする理由はありません。
回復の途中で判断を急がないこと
基本手当を受け取るには、求職活動を行い、認定日にハローワークへ行く必要があります。 体調が整う前に始めると、活動そのものが負荷になります。
延長できる期間は最長3年あります。急いで切り替える理由は、制度の側にはありません。
年金と医療費も同時に考える
退職後は健康保険と年金の切り替えも発生します。保険料は、どちらを選ぶかで年間数万円変わることがあります。
ここに書いた内容は一般的な説明です。実際の取り扱いは、加入している健康保険、勤務先の就業規則、 お住まいの自治体によって異なります。ご自身のケースは、必ずそれぞれの窓口にご確認ください。
出典
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」(kyoukaikenpo.or.jp)
- ハローワーク(厚生労働省)「基本手当について」「基本手当の所定給付日数」(hellowork.mhlw.go.jp)
- 厚生労働省「令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について」(mhlw.go.jp)
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