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鍼灸・整体と、保険が使える範囲

「体をほぐしたい」と「保険が効く」は別の話です。どこまで保険が入るかは、6つの病名で決まっています。

根拠の強さ:研究の報告がある査読を経た研究があります。観察研究が中心で、因果関係まで示すものではありません

短く言うと

  • うつを理由に、健康保険は使えません
  • 鍼灸は6つの疾病+医師の同意書で療養費が出ます。ただし投薬中は対象外
  • 不安については18件中15件が有意な低下を報告した系統的レビューがあります
最終確認日:2026-08-25カテゴリ:メンタルヘルスを考える
うつでの保険使えません療養費の対象疾病に精神疾患は入っていません
鍼灸の対象6疾病神経痛・リウマチ・頸腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症
同意書の有効期間6か月続ける場合は、再度の診察と同意書が要ります
整体・カイロ全額自費法的な資格制度がなく、療養費の対象外です

資格が2種類あります

あん摩マッサージ指圧
はり・きゅう
国家資格(あはき法)
柔道整復
(接骨院・整骨院)
国家資格(柔道整復師法)
整体・カイロプラクティック
リラクゼーション等
法的な資格制度がない

前2者は、文部科学大臣の認定した学校または厚生労働大臣の認定した養成施設で 3年以上の教育を受け、国家試験に合格した者だけが業として行えます。施術所の開設時には届出も義務付けられています。

整体・カイロプラクティックには、この仕組みがありません。名称の使用にも制限がありません。 総務省行政評価局の報告書に、この区別がそのまま整理されています。

保険が出る範囲は、狭いです

はり・きゅう

対象は慢性病(慢性的な疼痛を主訴とする疾病)であって保険医による適当な治療手段のないものです。 厚生労働省の同意書様式には、次の6疾病が並んでいます。

  • 神経痛/リウマチ/頸腕症候群/五十肩/腰痛症/頸椎捻挫後遺症

受けるには保険医(医師)から同意書の交付を受けます。同意書に基づく支給期間は6か月で、 続ける場合は再度の診察と同意書の交付が要ります。

そして、ここが実際に引っかかるところです。

同意する疾病について、処置や投薬等の治療(ただし、同意書の交付に必要な診察・検査及び療養費同意書交付は除く。) を行う場合には、治療が優先されるため、患者は、はり、きゅうの療養費の支給を受けることができません。

その病名で通院して薬をもらっていると、同じ病名では療養費が出ません。

あん摩マッサージ指圧

対象は、一律に診断名によらず筋麻痺・筋萎縮・関節拘縮等、医療上マッサージを必要とする症例です。 こちらも保険医の同意書が要ります。

単に疲労回復や慰安を目的としたものや、疾病予防のマッサージ等は療養費の支給対象とはなりません。

整体・カイロプラクティック

療養費の対象そのものに入っていません。全額自費です。

うつ病・適応障害を理由にした施術は、対象外です

はり・きゅうの6疾病にも、あん摩マッサージ指圧の対象にも、精神疾患は入っていません。 「うつなので鍼灸に保険を使いたい」は、制度上できません。

肩こりや腰痛が別にあり、6疾病に当てはまる場合は、医師の同意書を前提に療養費の対象になり得ます。 ただしその病名で投薬を受けていると、上に書いたとおり対象から外れます。

通院と薬の負担を軽くする制度は、別にあります。 自立支援医療で、通院の負担は軽くなりますか

事故の記録があります

総務省行政評価局の報告書(令和2年11月)が、事故情報データバンクの登録情報を分析しています。 医業類似行為の分析対象1,534件の内訳です。

神経・脊髄の損傷274件(17.9%)
擦過傷・挫傷・打撲傷181件(11.8%)
骨折134件(8.7%)

消費者庁は平成29年5月に 「法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に」と題した注意喚起を出しています。

首や背骨に強い力を加える施術と、頭や肩をほぐす施術では、記録されている事故の内容が違います。 受ける前に、どこにどのくらいの力を加えるのかを確認しておけます。

国の資料には、記述がありません

整体・マッサージについて、厚生労働省の健康づくりのガイドにも、療養費の基準にも、 メンタルヘルスに関する記述はありません。支持する記述も、否定する記述もありません。

ただし、研究のほうには報告があります

2024年に、手技療法と不安に関する系統的レビューが発表されています (West KL, Huzij T. Journal of Osteopathic Medicine, 2024)。

34件の研究を対象に検討し、そのうちマッサージを扱った18件では15件(83%)が、 不安の有意な低下を報告していたとされています。

公的なガイドではありませんが、査読を経た報告です。

読むときの前提

見ているのは不安ですこのレビューが測っているのは不安(anxiety)の強さです
手技療法という括りです対象はmanual therapyという広い分類で、 日本の整体・カイロプラクティックに限った話ではありません
保険とは別の話です研究があることと、療養費が出ることは別です。 うつを理由にした施術は、保険の対象外のままです

体を触ってもらって楽になった、という感覚は本人のものです。 このサイトが扱えるのは、そこに公費が入るかどうかと、資格・事故の記録までです。

月に何回まで出せますか

全額自費の施術を月に何回受けるかは、家計の話になります。 お金を整理するで毎月の過不足を出しておくと、続けられる回数が決まります。

確認してください

ここは治療のページではありません。体調そのものの判断と、いつから何を始めるかは主治医の領域です。服薬中に気をつけることは、処方元か薬局の薬剤師にご確認ください。

自費の分を含めて、毎月いくら要りますか

医療費と生活費を入れると、毎月の過不足が出ます。保険が効かない支出は、ここに乗せて考えられます。

お金を整理する

出典

  • 厚生労働省「はり、きゅう及びあん摩マッサージ指圧の同意書の取扱いを改めてお知らせします」令和7年4月版(mhlw.go.jp)
  • 「はり師、きゅう師及びあん摩・マッサージ・指圧師の施術に係る療養費の支給の留意事項等について」(平成16年10月1日付保医発第1001002号)
  • 総務省行政評価局「消費者事故対策に関する行政評価・監視 -医業類似行為等による事故の対策を中心として-」(令和2年11月・soumu.go.jp)
  • 消費者庁「法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に」(平成29年5月・caa.go.jp)
  • あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律/柔道整復師法
  • West KL, Huzij T. A systematic review of manual therapy modalities and anxiety. Journal of Osteopathic Medicine. 2024. doi:10.1515/jom-2024-0001

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